Of the secret kiss



「秋山さん、カツラギさんと何があったんですか?」
真剣に問いかける直に秋山はサラリと答えた。
「お前には関係ない」



お前には関係ない。

何度この言葉を彼の口から聞いたことだろう。
冷えた眼差しをいずこかへと傾けたままの秋山の様子は
明らかに常の彼とは違っていた。
セミファイナルでカツラギと対峙してからというもの
二人の間に漂うただならぬ空気、
ニブイと言われる自分でさえも感じ取ることが出来たのに
秋山は何故隠そうとするのだろうか?
直はぷぅと頬をふくらませ、不満げに秋山を見つめた。

「関係ないって、明らかに何かあると思うんですけどお二人の間に。
なんか、こう、その…、」

最初は強気だった直の語気がだんだんと小さくなっていく。
彼女の様子を繁々と見つめていると、途端に顔を赤らめて黙り込んだ。

「どうした?」
秋山の瞳が直をのぞきこんだ。
どきんと心臓が早鐘を打つ。直は耐え切れずその場へへたりこんだ。

「おいっ」

予測不可能な直の行動に秋山は苦笑しつつ、彼女を抱き起こした。

「なんだよ、一体?」

訳の分からないといった風な秋山の言葉が耳に届いた。
直は意を決してそんな彼を睨みながら言った。

「カツラギさんって秋山さんの元カノなんですかぁああーー」

力いっぱいの直の声が辺りに響いた。
瞬間、秋山の手が直の口をふさいでいた。

「馬鹿か、お前は。」

秋山は呆れながら、直を自分の前へと立たせた。
そして両肩へそっと手をおいて、再び彼女の瞳を覗き込んだ。

「気にするな。」
「でっ、でも」
「あいつのことは気にするな」

秋山はふっと笑うとそのまま直へと口づけをした。
柔らかい感触にふっと酔わされる。
崩れ落ちそうになる直の体を秋山は抱きとめた。

「そういうこと言うから、罰だ」
「・・・え?」
「俺を信じろ」

秋山の低い声が耳元で響いた。
どこか優しさを含んだ声色が直の心へ届いていた。

「秋山さん、」
「お前には誰もかなわない。」



俺はお前を守る。
そう決めているのだから。


直を抱きしめながら、彼女の温もりを感じながら
秋山は再び誓いをたてた。



END

2009.12・15るきあ

甘いですか?ダメですか?ていうか30分で書きました(笑)

ブラウザを閉じてお戻りください。